様々な解釈ができそうな動画の始まりから終わりまでの図の変化。
この動画は人が生まれてから死ぬまでの様子を4つの流れの視野から単純な概念で示したものであるため色々な解釈の余地がある。
解釈のポイントは動画のタイムラインと個人の発達過程(ライフステージ)がどのように重なるかということだ。
以下に一例として筆者の解釈を簡易に述べる。
まず個人が生まれるまでの条件が重なる過程が1~7で示される。

誕生したのちに意識が働き始めてから生育、発達をして成熟した大人になるまでの過程が8~15で示される。

成熟した人として周囲の世界を受容しながら関わり、働きかけて人生の最も活動的な時を過ごすことで経験と記憶を積み重ねることで順応をして、次第に老い衰えてゆく過程が16~95で示される。

この過程で動画の⇧が⇩へ折り返す時に◁が1目盛増える。これは経験や記憶が時を経て積み重なってゆくと同時に老いてゆくことを意味している。

そして動画の全過程を通して⇩が⇧に折り返す度に次第に横軸のラインが左の方へ一段ずつ押し込まれている。ここに経験を積むことと老化の構造的な相関が示されている。

⇩の目盛が7つで一定なのは人の生の力の物性上の限界量を意味している。これに対する⇧の目盛は8つであり人の生の目盛より1つ多い。この対等ではない関係が老化を進める力の流れを作ることを意味している。

⇧の目盛が◁に進むに従って一つずつ減って行くのは、外から加わる大きな力が個人の中心に届くまで階層的に消費されて行くことを意味している。しかしこの大きな力、端的に言えば時間の流れの強制力は圧倒的であり休む間もなく供給される。この力に人が押し潰されないのは、自然環境や住居や身体の構造の中に脳や内臓などの大事な部分が包まれて守られているからだ。

このため⇩から⇧の折り返し点で加わる力の量は⇩と⇧で大部分が相殺される。これで個人の身体は持ち堪えるが、相殺しきれなかった残りの力と常に供給される続ける力の様子が図で示されている。

こうして個人は一定時間を生き続けるが、ある程度の時間(◁)が進むと⇩の折り返し点が身体の内部の中心まで押し込まれてしまう。つまり、◁と⇧を押し返し持ち堪える構造が維持できなくなるのだ。この状況を示すのが111であり、老年期の始まりを意味する。

96~111は若い時と同じような意識で物事を考えて意志を示せる最後の期間を意味している。この時には生きる力はだいぶ衰えている。
動画の見方の注意として、時間が進むにつれて▷の先端はピラミッド状の図の右端まで届かずに引き離されていくが、これは全く影響が届いていないのではなく、極端に減っている状態を示している。こうして老化の過程が示されているのだ。

112~118は意識が死を受け入れる過程を示している。

119からは◁の記号が消える。つまり完全な死の状態を示している。動画ではこの後も人を生かしていた力(⇧)が働き続け、身体であったもの(ピラミッド状の図)は動きを止めて”現在”から遠ざかって行く様子が120~137で示されている。この”現在”とは個人が生き続けていればそこに居たであろう時点を意味する、生き残った他者により観測可能な時点である。

以上のような解釈ができる。4つの流れの本論で示されているのは16~95の⇧と⇩と◁と▷がせめぎ合う中に人の生を見つける視点だ。この視点を拡大して、誕生から死の流れを示したのが1~137となる。
