見えにくい側面とロッタのイメージ

その多くが馴染みのないなじみのない言葉で記録・執筆・出版されている事柄は、写真や図版のような表現で伝わりやすい。ロッタ・スヴァルドの活動はそうした性質を持ったテーマだと思います。しかも写真で残っているのはほとんどが平穏あるいは順調な状況、楽しげな日常の様子でしょう。美しい風景の中に佇むロッタを撮ったものは見ていて心地よくほほえみのこぼれるものです。一方で、讃えられているロッタの活動は祖国の困難な状況に立ち向かうべく身を投じた姿。「ありがとうロッタ」。今でもロッタや戦争に関わる記念日には、フィンランド人たちの間でよく見られる言葉です(筆者Twitter観測による個人的印象)。外国人がその言葉に真に共感しようというのはどこまで行っても無理な話であり、決して勘違いしてはいけない部分ですが、そのロッタへの思いのもととなる知識には、読者ができるだけ近づけるように努めていきたいのです。その観点で、これまでに出したロッタ本は不十分なのですが、需要はよくわかりません。読みたいというお声があれば力になります。なくても、書くんですけどね。

ロッタ・スヴァルド100周年記念行事セミナーのこと

2021年10月8日、ロッタ・スヴァルド組織成立100周年記念行事の一環でウェビナーが開かれました。この講演では、ロッタ・スヴァルド協会で活躍した人物から4人の有力者をとりあげ、生い立ちや人となり、功績が紹介され、そこから得るべきものをこれからのロッタ・スヴァルド財団の活動の理念や行動に生かしていくことが示されました。また、姉妹組織スウェーデンのSvenska Lottakårenや、エストニアのNaiskodukaitseからもビデオメッセージが寄せられています。

アーカイブ動画は2021年10月20日現在公開されています。(Vimeoリンク)

  • Kodin kynttilät の演奏 ロッタ博物館でよく演奏しているグループSuklaasydämetによる
  • Baba Lybeck 司会
  • ロッタ・スヴァルド財団CEO挨拶 Anne Nurminen
  • Helmi Arneberg-Pentti、ロッタ・スヴァルド協会を束ねた人 Katri Innanen (彼女の孫娘)
  • Fanni Luukkonen、ロッタ・スヴァルド協会に力を与えた人 Marjo-Riitta Antikainen (ルーッコネンの研究書 “Velvollisuuden kutsu” の著者)
  • Tellervo Hakkarainen、配膳給食部門指導者として、その他多面的な指導者として Pirjo Björk (ロッタ・スヴァルド財団理事長)
  • 姉妹組織スウェーデン LottakårenとLotta Svärdの交流について Hélene Rådemar (Svenska Lottakåren代表)
  • 姉妹組織エストニア NaiskodukaitseのMari Raamot代表について Kadi Kass (Naiskodukaitse歴史部門担当者)
  • Lili Marleneの替え歌でMaja Genetzの歌 Suklaasydämet
  • Maja Genetz、経営の天才 Maritta Pohls (歴史研究者)
  • ロッタの仕事は生きている Anne Nurminen
  • 総括 Baba Lybeck
  • Lotta-laulu ロッタの歌 Suklaasydämet

財団のサイトでセミナーの概略が掲載されています。取り上げた人物の順番から、現在のロッタ・スヴァルド財団の理念とつながりが深いことに重点が置かれているように思いました。
https://www.lottasaatio.fi/lotta-svard-100-juhlawebinaari/