その多くが馴染みのないなじみのない言葉で記録・執筆・出版されている事柄は、写真や図版のような表現で伝わりやすい。ロッタ・スヴァルドの活動はそうした性質を持ったテーマだと思います。しかも写真で残っているのはほとんどが平穏あるいは順調な状況、楽しげな日常の様子でしょう。美しい風景の中に佇むロッタを撮ったものは見ていて心地よくほほえみのこぼれるものです。一方で、讃えられているロッタの活動は祖国の困難な状況に立ち向かうべく身を投じた姿。「ありがとうロッタ」。今でもロッタや戦争に関わる記念日には、フィンランド人たちの間でよく見られる言葉です(筆者Twitter観測による個人的印象)。外国人がその言葉に真に共感しようというのはどこまで行っても無理な話であり、決して勘違いしてはいけない部分ですが、そのロッタへの思いのもととなる知識には、読者ができるだけ近づけるように努めていきたいのです。その観点で、これまでに出したロッタ本は不十分なのですが、需要はよくわかりません。読みたいというお声があれば力になります。なくても、書くんですけどね。